第77回ヴェネツィア国際映画祭はコロナ禍の中、9月2日~12日にかけてオンラインではなく通常開催に踏み切って開催されました。最終日の12日夜に授賞式が行われ、映画芸術に特別な貢献をした映画人に贈られる「栄誉金獅子賞」は、中国香港の許鞍華(アン・ホイ)監督と英国女優のティルダ・スウィントンに授与されました。女性監督に同賞が授与されたのは、世界初のことです。

ヴェネツィア国際映画祭閉幕、アン・ホイ監督「栄誉金獅子賞」受賞_fororder_I-1

許鞍華(アン・ホイ)監督

 許鞍華監督は1947年に中国・遼寧省で中国人の父親と日本人の母親の間に生まれた中日のハーフ。中国映画シーンを代表する女性監督として知られ、数々の名作を世に送り出してきました。許監督とヴェネツィア国際映画祭との関わりは深く、2003年に第60回ヴェネツィア国際映画祭コンペ部門では審査員を務め、2014年には第71回ヴェネツィア国際映画祭オリゾンティ部門の審査委員長に選出されたほか、2011年第68回ヴェネツィア国際映画祭に出品された『桃さんのしあわせ(原題:桃姐)』は主演女優賞(葉徳嫻/デニー・イップ)を受賞しました。2014年には話題作『黄金時代』が第71回ヴェネツィア国際映画祭クロージングフィルムに選ばれています。

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許鞍華監督の最新作『第一炉香』

 中国の女流小説家、張愛玲の出世作『沈香屑 第一炉香』を原案とした許監督の最新作『第一炉香』は、年内に一般公開される予定です。(ミン・イヒョウ、星)